平成13年度 5年生 ランドセルの絵   鉛筆

図工の絵の描かせ方(作品の一部は下)
 ランドセル

 この題材を選んだ理由
 子どもにとって、ランドセルとは、毎日の勉強道具を運ぶかばんという以上に意味をもっているものであると思う。私の息子が、ちょうどこの春1年生で、先日買ったのであるが、子どもにとって、このランドセルは小学校にいける魔法のアイテムとでも認識しているかのように喜んでいた。きっと、だれもが多かれ少なかれ小学校の象徴として意味づけをしているものだと思う。自分と一体となっているほどあたりまえのこのランドセルをもう一度、じっくり観察し、絵にすることは、絵の指導とともに、それを描く過程で、このランドセルとともに生活してきたことを思い出し、自分を振り返ることになると思い、取り組んだ。

指導の実際

1.「これは何」のクイズをする。
   ある子を指名し、目をつぶらせる。その子にいろいろなものを触らせ、それが何かをあてさせる。
   そのときは、バケツとうちわと、ドラえもんのぬいぐるみだった。

説明  目でみた時には見えなかったものが、目をつぶって触るということで見えてくることがあります。

2.ランドセルを目をつぶって触る。

 ここは、こんなになっているのかあと、発見するつもりで、触ってみよう。
 となりの人のランドセルと交換して、違いを発見するように、触ってみよう。
 子どもたちは、感触の違い、「わあーざらざらしている」とか、「つるっとしている」などと口々につぶやいた。   同じように見えても、違うんだね、その違いも絵に表せるといいね。
 ランドセルについて、思い出を発表させる。
 「一回こわれて、お父さんになおしてもらった」
 「一年生のころは、とってもランドセルが大きく感じた。」 

説明

 先生の息子が、今年1年生になるんだけど、この前、ランドセルを買ったとき、とってもうれしくて、写真とって、写真とってとポーズをとったんだけど、みんなも、このランドセルを買ってもらったとき、とってもうれしかったと思うよ。中学生になって、ランドセルを使っている人はいないと思うけど、高校生も大学生も、そういう意味から、このランドセルはないてもわらっても、あと、1年の付き合いということになるんだよ、今までのことに感謝したり、いろいろなことを思い出してランドセルの絵を描いてみよう。

    用具 鉛筆Bよりもやわらかいものを使用。

スキル 1

鉛筆を使い7段階のグラデェーションを書く

こつの説明

1 ランドセルの中で、一番暗いところと、一番明るいところを見つける。
2 同じ描くのなら、ちょっと難しそうだなあという方向から描くと、気持ちがこもりやすい。

授業の実際

 実際、描き始めると、最初は少しざわざわしたが、だんだんと静かになり、最終的には本当に静寂な中で、子どもたちが黙々と作業をしているという感じになった。
 斎藤喜博が松の葉から落ちる雫の音が聞こえるような学級がいいというようなことを教室愛の中で書いていたと思うが、まさに、その状態に近い感じだと思う。ひとつのことに向い意識が集中していくとそうした状態になるのだと思う。
 途中、子どもたちの作品の中から、目指すべき方向を示しているような作品を紹介したり、「日本画 初歩から制作まで 大野俶高著」の本の中から、精密描写の部分を見せたりして、どのように描くといいのかというモデルを見せた。最初から見せると逆に意欲の減退につながる場合があるので、今回は途中で見せることにした。指導者の考え方によりいろいろな方法が考えられるであろう。

実際の作品